(2日目)国際列車で北京から平壌へ!

 

〈16時まで北京市内をブラブラ観光〉

翌朝はチェックアウトギリギリの11時過ぎに起床。荷物をまとめてチェックアウト。ロビーでチケットを受け取るのが16時だから、まだ4時間余裕がある。

地下鉄に乗って街を散策することに。(間違えて)東単駅に降りて、そこから東方新天地という巨大ショッピングセンターへ。

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ハーゲンダッツの店や、マクドナルドで時間をつぶす。

 

16時近くになったので、北京国際飯店へ戻る。ここで国際列車のチケットと北朝鮮ビザを受け取る。ドキドキだ。

ところが、ロビーで待っていても、なかなか来ない。16時15分を過ぎ、焦ってきたところに、チケットを持った男性が!英語で会話を交わし、チケットとビザを受け取る。いよいよ、北京駅へ!

 

〈列車に乗り、北朝鮮の人達と交流!〉

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物凄い数の人だ。 

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 中に入り、電光掲示板を見ると……あった!「平壌」の文字! とうとう、北朝鮮へ行くのだ。興奮が抑えきれない。電光掲示板の表示通り、3番の待合室へ。そして、列車へ!

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 プラットホームでは、かの国のバッチを付けた住人が、「SONY」と書かれた巨大な箱を運んでいた。大量の荷物を祖国に持ち帰るのだろう。とまっている列車は、北京発、丹東行き。電光掲示板には、「次、平壌」とある。この次の列車が平壌行き? 待ってみるが、いっこうに列車は来ない。

出発まであと15分を切った!焦って、列車の乗務員にチケットを見せ尋ねる。だが、英語がまったく通じない。とりあえず、ここではないようだ。示された方向をずっと歩いて行く。

すると、後方に連結する車両に、「北京→平壌」の表示が! どうやら、丹東行きの列車と連結しているようだ。そこには、北朝鮮バッジを付けた軍人が立っている。緊張しながら、チケットを見せる。

北朝鮮軍人:イルボン!

イルボンとは、日本のこと。日本人であることに驚いているようだ。案内されて、寝台列車に乗り込む。

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 列車内。一部屋には四つのベッド。自分以外は、全員が北朝鮮人だ。40~50代ぐらいの男性3人が、次々と列車内に荷物を運んでいく。

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あっという間に、室内は荷物でいっぱいに。なんとかコミュニケーションをとりたい。荷物運びを手伝ったりして、お互いの緊張感を解こうとしてみる。力がなさ過ぎて、全然役に立たなかったが。

列車が出発。持参した週刊朝日を取り出して、全国高校の合格者数を俯瞰し暇をつぶす。向かいの北朝鮮人2人は、自分が読んでいる雑誌に興味津々だ。よし、作戦成功(笑)

旅行会社から送られてきた、開城や白頭山のパンフレットを取り出してみる。興味があるようなので、彼らに「ケソン、ペクトゥサン」と指をさして見せた。

朝鮮語はあいさつ程度しか喋れないが、それでも何とかコミュニケーショとろうと頑張ってみた。

すると、もう一人の男性が現れ、私に向かって話しかけてきた。

  ニホンジン デスカ?

驚いた。まさか日本語で話しかけられるとは。

(私) 日本語が上手ですね。どこかで習っていたのですか。

(北朝鮮人A) 違イマス。自分デ勉強シマシタ

片言ではあるが、日本語を話せる現地人と出会えるなんて奇跡だ。彼はキムさんという。妻、娘さんと列車に乗って平壌に帰国するところだ。一緒にいる2人は、チョンさんとリーさん。3人とも、平壌市内のレストランで働く料理人だという。

 

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北京駅近くで買った潰れたクロワッサンしか持っていなかった自分に、彼ら3人はメシを奢ってくれた。さすが料理人。すべて手作りだという。キムチ、ハタハタ、日本ののり巻きもある。

(キムさん) 同ジ部屋ノ人ハ、ミンナ仲間デス

北朝鮮の方々からの暖かいもてなしに、胸が熱くなった。

私は、北朝鮮の男性へのお土産に持ってきた、セブンスター(ソフト)のたばこを一箱手渡し、もてなしに応えた。北朝鮮人にとって、日本産のたばこは高級品。中でもセブンスターのソフトが絶大な人気を誇ることを事前に調べており、今回は空港免税店で購入しておいたのだ。ちなみに、たばこを吸わない私は、これが人生初のたばこ購入であった。

 

〈日本の物価に興味津々の北朝鮮人!〉

 キムさんのおかげですっかり打ち解けた私達は、彼らからの様々な質問に答えていった。

日本から北京までの航空券の価格、今回のツアーの料金、

 

(キムさん) 日本デノ一ヶ月ノ給料、イクラデスカ?

(私) ○○万円くらいです。

(キムさん) オ父サンハ、ナニシテマスカ?

(私) ○○という会社のサラリーマンです。

(キムさん) オ父サンの給料ハ、ドレクライデスカ?

(私) 年収で○○万円くらいだと思います。

(キムさん) オ父サンハ、会社ノ社長デスカ?

(私) 違います。普通のサラリーマンですよ。

 

北朝鮮の平均月収は、我々日本人からすると、恐ろしいほど低い。彼らが年収を聞いて、「社長か」と思うのも無理はない。

(キムさん) 日本ノサラリーマン、平均イクラ稼ギマスカ。

(私) 500万円くらいですね。*1

(キムさん) 上ノホウダト、ドレクライ稼ギマスカ。

(私) サラリーマンでは、年収1000万円以上が基準です。

北朝鮮の人々にとって、途方もなく高額な金額。しかし、良いことばかりではない。日本では、残業、過労死などがしばしば問題となる。非正規雇用の増加に伴う婚姻率の低下、晩婚化、共働き世帯の増加、それらに起因する出生率の低下から、子供の数は減り続けている。そんな日本の現況を、彼らは興味津々に聞く。

中国は広い。中朝の国境線はまだ先だ。睡魔が襲い 、うとうと。彼らに寝ることを促され、午後11時前に就寝。明日はいよいよ、北朝鮮への入国だ。

*1:実際は正規雇用者の統計で年収414万円だそうだ。