(3日目①) 北朝鮮入国!エリート少女&恐怖の荷物検査

〈英語ペラペラ! 北朝鮮のエリート少女に衝撃!〉

朝7時ごろ起床。車窓から風景を見るに、まだ中国国内のようだ。間もなく、中朝国境に到着するのだろう。周りの北朝鮮の人々が、荷物の整理をし始める。

慌ただしくなってきた列車内。私の部屋の中に、一人の少女が入ってきた。キムさんに聞いたところ、彼女はキムさんの娘さんのようだ。

ややぽっちゃりの体格。ピンク色の女の子らしいパジャマを着ている。見た目から小学6年生ぐらいかと思ったが、13歳だそうだ。屈託のない笑顔が印象的。

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話しかけてみて驚いた。何と彼女は英語がペラペラだ。流暢な英語で応対してくる。英語を学んで一年だと言うが、本当だろうか。

(私) 将来の夢は?

(少女) 先生か、パブリックスピーカーかな。

(私) 日本についてはどう思う?

(少女) うーん。あまりよくわからない。

彼女は間違いなく、北朝鮮の中でのエリートだ。特権的な教育を受けているのではないだろうか。負けていられないぞ、日本の中学生たち。ただし、地理的な知識などはあまり持っている印象はなかった。

 

〈国境線を越え北朝鮮入国! 恐怖の荷物検査〉

列車は、中国の国境都市、丹東市に停車。12時頃だろうか。列車は中朝国境線を越えて、北朝鮮新義州市内へ。人口30万人の陸路の玄関口だ。ここで列車が止まり、厳格な荷物検査がスタート。パスポートとビザがここでいったん回収される。

北朝鮮の軍人さんが列車内に入り、1部屋ずつ荷物検査を始める。私からしたら恐怖でしかないのだが、北朝鮮の人達は慣れているようで、いたるところで笑い声も聞こえる和やかな雰囲気。

同室の3人の荷物検査が終わり、私が呼ばれる。携帯品の持ち込み用紙をもとに、カメラ、ケータイ、パソコン、雑誌などが確認される。

私はまず、所持していた週刊朝日の雑誌と、韓国語会話本を取り出す。没収されては困るので、どんな本かを簡単な英語で説明。韓国語会話本が、“南朝鮮”の会話本であることが気になったようであるが、まーオッケーだということで、無事通過。

次にパソコン。ノートパソコンを見せる。パスワードの入力を要求される。うわー、パソコンの中身まで見るのか……。ここらへんから、ちょっと内心、焦りだす。というのも、パソコンの中には、今回の旅行で必要な様々な北朝鮮に関するウェブサイトのコピーが入っている。日本語表記だが、内容がバレるとちょっとまずいかもしれない。

「すべての動画ファイルを見せなさい」パソコンを私に渡される。私は、動画ファイルを開く過程で、こっそりと1つのフォルダを削除した。

「これがすべてのファイルです。」検査官にパソコンを見せ、怪しいファイルがないことを示す。向こうの検査官には、何とかバレなかったようだ。今回の旅行の中で一番焦った瞬間であった。

本当に危ないであろうファイルは、旅行出発の前日にすべて削除しておいた。かの国へパソコンを持って行くなら、それくらして当たり前だろうが……。改めて、本当にそうしておいてよかった。怖い、怖い。

ちなみに、同室の北朝鮮の3人方は、手のひらサイズのカメラを没収されていた。

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 列車は再び、首都、平壌に向けて出発する。落ち着きを取り戻し、窓を眺める。そこに広がっていたのは、北朝鮮の国境都市、新義州の風景であった!